お久しぶりです?
少し思うことがあったので,ブログを1年ぶりに更新してみました.
ここ1年程の間に読んでいた教科書類も近日中に更新しようかと思います.
乱雑に感想を書き留めていたのですが,纏めるのが面倒で放置していましたので.
失敗の本質 日本軍の組織論的研究
失敗について少し考えることがあったので,いい機会だと思い積み本を消化しました.
著者たちも序章で述べていますが,"組織"の失敗がメインテーマです.個人に帰着する失敗にはあまりフォーカスせず,むしろそのような失敗を誘発することになった組織的なコンテキストに焦点が置かれています.最も合理的な組織であるはずの軍隊がなぜ失敗したのか,という考察の適切な対象として,日本軍が取りあげられています.
1章は大東亜戦争(太平洋戦争)の6つの(敗戦した)戦闘をケーススタディとして紹介しています.私が日本軍に詳しくない&文章が堅苦しく,読むの苦痛でした.40年近く前に初版が発行された本が,さらに40年前の資料を参照しているので当たり前なのですが…(ちなみに私の手元にあるは74版です)
2章・3章で米軍と対比する形で考察を行っていますが,結論としては,
- あいまいで多義性を持つ戦略目的(⇒戦略目的の非共有,個々人での帳尻を合せ)
- 主観的でともすれば非科学的な戦略策定
- 戦略オプションの少なさ
- 官僚組織の中において,過度の俗人的ネットワークの混在・偏重
- 既存の枠組みの中での強化に過ぎず,固定的であった学習
- プロセスや動機を重視した業績評価
といった巷でよく聞くものが日本軍の組織として(環境適応の)失敗の本質と結論付けています.*1
こちらの本の影響の大きさを示唆するのかもしれませんが,私にはあまり目新しく思えずフ~ン・マアソウダヨナといった感じでした.本書を読んでいると日本軍サゲ・米軍アゲの気分になってきますが,実際には上記のような部分は米軍にも十分存在すると思われるので,要は程度問題の差なのでしょう.*2
翻って,私の周囲のことに当てはめて考えてみると,戦略部分に関しては近しいもの(不満)を強く感じた案件(業務)は,まあ失敗するのもむべなるかなと思うようなりました.*3 .目的が多義的で,役割や責任の所在が不明瞭ですと,結果として個々人が自分に都合よい局所最適化のようなことを行いがちになるのではないでしょうか.そこで最終的に帳尻が合わないと,"組織"としては失敗ということになるのでしょう.
2年目の終わりになって,良くも悪くも自社の組織文化に同化していっていることを最近強く感じているので,初心(やその頃に感じた違和感)を忘れないようにしたいと思います.
外資1年目の教科書
パッと社内で目に付いたので,気晴らしに一読しました.
債券セールスの方が書かれているマインドセット本みたいな感じでしょうか.
こういった本は教科書と違って,サクッと読めていいですね.最近はもう数学書がまともに読めません☺
外資系金融機関で働くのも(仮定法),人生の密度を高めるという観点ではよさそうだな~と思います.
私の性格でやっていけるとは思えませんが.
DIT WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール
発売当初にも読んだのですが,再読しました.
コモディティ*4・トレーダー出身のHFマネージャーが書かれており,金融業の匂いをあちらこちらに感じます."金銭的な"成功者のバイアスも多分に感じます.
ゼロで死ぬのがいいのかは分かりませんが,日々つらつらと考えることを改めて言語化してくれています.
まとめると,お金を適切に利用して,人生全体の効用を最適化(最大化)しろということでしょうか.とは言え,最適化の常として,オーバーフィットには十分に気を付ける必要があるとは思います.こちらの本の主張にオーバーフィットすると生き急ぐことになってしまう気も.
2,3時間もあれば軽く一読できるので,気分転換に読んでみてもいいかもしれません.
Impressiveだった断片を残しておきます.
Rule 1:Maximize Your Positive Life Experiences
- 限られた時間のなかで最大限に命を燃やす方法を考えなければならない.~(中略)~これは最適化の問題だ.
- 大切なのは,自分が何をすれば幸せになるかをしり,その経験に惜しまず金を使うことだ.
Rule 2:Start Investing in Expericences early
- 人生で一番大切な仕事は,思い出づくりです.最後に残るのは結局それだけなのですから.
- 元の経験から副次的に生まれる経験はまさに記憶の配当だといえる.~(中略)~金を払って得られるのは,その経験だけではない.その経験が残りの人生でもたらす喜び,つまり記憶の配当も含まれているのだ.
Rule 4:Use All Available Tools to Help You Die With Zero
- 私たちは,死から目を背けることで人生を最適化できていない.~(中略)~人生の残りの時間を意識しよう.それが現在の行動に大きな影響をあたえるはずだ.
- 「ゼロで死ぬ」とは金だけの問題ではない.それは時間の問題でもある.限られた時間とエネルギーをどう使うべきか.私たちはそれを,もっと真剣に考えるべきだ.
Rule 5:Give Money to Your Children or to Charity When It Has the Most Impact
- そもそも子供たちには,あなたが死ぬ「前」に財産を与えるべきだ.なぜ,死ぬ時まで待つ必要があるのか?
Rule 7:Think of Your Life as Distinct Seasons
- 私たちは皆,人生のある段階から次の段階への前進し続ける.ある段階が終わることで小さな死を迎え,次の段階に移る.二度と同じときを過ごせないのは悲しいことだが,逆に言えば,私たちが長い人生の間に,いくつもの生を生き,喜びや楽しみを味わえると言うことでもある.
- 実際のところ,私たちが思っているほど先延ばしできない経験は多い.にもかかわらず,私たちはそれを自覚していない.~(中略)~人生の各段階で使える時間はそれほど多くない.
Rule 9:Your Biggert Risks When You Have Little to Lose
- 行動をとらないことへのリスクを過少評価するべきではない.~(中略)~リスクの大きさと不安は区別するべきだ.
Afterword
- 挑戦しよう,人生を最大限に充実させ,たった一度の人生を価値あるものにしよう.
- 人生で一番大切なのは思い出を作ることだ.
あと,副題 - Getting All You Can from Your Money and Your Life - の訳はもうちょっと何とかならなかったのでしょうか…
まあ全体としてお悩み多きお年頃ということです.